私道の持分は生活する上でも、私道に接する土地や家の売却の際も必ず必要です。
私道の持分取得についての実際の交渉と、持分を買い取りする場合に必要な費用と取得の相場について経験を交えて記します。
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私道の問題が判明した実家
実家を売却しようとして、不動産業者に仲介を依頼しようと動いているときに、家の前の道路が私道であることがわかりました。
私が子どもの頃から住んでいた実家ですが、その頃は誰も私道に不自由を感じずに暮らしており、意識にも話題にも上ったことがなかったのです。
実家の接道状況は上の通りで、旗竿地の形状です。
市の道路から間に入った細めの道路がありそこに4軒の家が面していますが、この道路がまぎれもない私道でした。
私道かどうかの確認方法
そもそもその道路が私道か公道か、または位置指定道路なのかの種別がわからない場合、家の道路が私道か公道かを確認する方法はいくつかあります。
- 地方自治体に問い合わせる…最も確実に確認できる
- 不動産登記簿の確認…登記簿には道路の区分(私道、公道など)が記載されていることが多い
他にも、地図や街区図を参照したり、近隣住民や管理組合に問い合わせることで際の利用状況や管理責任者を確認することができます。
同時にチェックすべきポイントは以下の通りです。
- 私道の幅員が4m未満かどうか⇒建築制限にかかる可能性
- 接道が私道のみで道路の間口が2m以下⇒再建築不可物件の可能性
私道の家は売却できない
実家の場合はこの土地を買った誰もがここが私道であることはまったく知りませんでした。
なおこの私道のある所は家が200戸以上普通の住宅団地で、市街地の路地裏のようなところではありませんでした。
土地は十分にあり、周辺の道路も広いところであったので、道路に問題があるなどと言うことは誰も想定していなくても不思議ではなかったことになります。
これまでは住んでいる分には何の支障もなかったわけですが、売却となれば話は別です。
売却に向けて調べていると、私道の持分がない家に接道している家は、必ず持分を取得していなければ売りに出せないということがわかったのです。
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私道の持分がないと売却できない理由
持分なし私道の家が売れない一番の理由は、融資がおりないということがその理由です。
- 融資がおりない
- 通行権が確保できない
- 掘削権が確保できない
私道が売れない理由1融資がおりない
銀行に直接電話をして聞きましたが、私道に接道している土地は担保価値がないとみなされるので、その土地を買おうとか家を建てようという場合、銀行ローンが使えないということでした。
それが公道との条件の違いです。
私道が売れない理由2通行権
なぜ銀行が融資をしないのかというと、持分なしの私道は他人の土地です。
持分なし私道は通行権も確保できないため、通路として使える保証がありません。
なので、もし仮にその道路が第三者によって建てられた建物などでふさがってしまって、通行ができなくなってしまったとすると、通行権はあっても、実質的にその道路を通って家や土地に入ることができなくなってしまいます。
言ってみれば、家に入る道路がないと同じなので、人が住めないこととなってしまいます。
私道が売れない理由3 掘削権
もう一つは、道路と家で生活するための重要なインフラの関係です。
ガス管や水道管などの設備の多くは道路に埋まっています。
それらのパイプがその道路にある場合、経年劣化で補修しようとなった場合にも、道路の持ち分がないとそのための掘削権(正確には地役権という)がないのが問題です。
私道の所有者を調べる
実際に土地を売りに出したいと依頼しようと思った不動産業者には断られてしまいました。
その上、私道の持分取得の交渉について尋ねても、説明はしてくれましたが、交渉は不動産店の本分ではないと断られてしまいました。
しかし、私はなんとか自力で私道の所有者を確認、私道の土地の名義人が団地の宅地を造成、分譲に当たった会社であることがわかりました。
※この間の詳しい次第は下の記事に記しました。
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私道の権利を買い取る!持分取得の手順
私道の所有者に交渉
その後、その建設会社に思い切って電話をして、やっと担当者にコンタクトを取ることができました。
そもそも実家のあるのは北関東の県でしたが、建設会社の所在地を調べたら最初は北陸が発祥の地で、そののちには東京に移転、都内に本社がある会社でした。
分譲にあたったのは、土木工事を請け負う建設会社でしたが担当者がわからない。
さらにその会社が過去に倒産したことがあって、現在は再建したものの、当時とは人事も変わり、書類も散逸しているということだったので、誰も対応のしようがなくたらいまわしになったらしく、いつまでたっても話が伝わらないので困りました。
持分を譲ってもらえる承諾
しかし、何とか経理の人が「自分の応対するべき話ではないのですが、他にする人がいないので」と言いながらも、担当してくれることとなったのです。
そして、持分を譲るということに関しては快く承諾をしてくれました。
私道の買取の価格
しかしうちの場合は、私道そのものを買い取るということにはなりませんでした。
というのも、他に3軒がその道路に面していて同時に使っていたためです。
なので価格の交渉それ自体はなかったのでよかったのですが、そのあとにかかる費用と条件が頭の痛い問題となりました。
問題になったのは私道の価格ではなかったのです。私道の所有者よりも、どうじに近隣が問題となるのが私道の複雑なところです。
私道の持分取得の費用
担当者がいうには、持分は無償で譲るということでほっとしたのもつかの間、その際の登記費用はこちらで持ってくれということでした。
その際の費用はいったいいくらかというと、司法書士を頼むので当然その費用がかかります。
そして、相続登記の場合は相続登記の登録免許税というのもかかります。
さらに、まったくわからなかったのが道路の測量の費用です。
私道の買取以外の費用
相手の言ったことをまとめると
- 司法書士の登記の費用
- 登録免許税
- 道路の測量費用
が必要な費用となります。
これなら私道を買い取る方がはるかに早いと思われました。
司法書士の費用
参考までに司法書士に移転登記を依頼した場合の相場は、だいたい数万円から多くて5万円ということです。
登録免許税
登録免許税は大体土地の代金の0.4%だと調べました。
登録免許税と合わせても、土地が市街地の真ん中のようなところでない場合には、税金はそれほどではないと思われます。
道路の測量の費用
それからもう一つ、私道によっては測量の費用が掛かる場合があると言われました。
その場合は、土地家屋調査士が入るため、ここで一気に費用が跳ね上がる可能性もあります。
区画がきちんとしている場合は問題がありませんが、もし測量を入れるとなると一例では約10万〜90万円との記載があり、最低でもある程度の費用がかかりそうだということがわかったのです。
私道の所有者が個人である場合
今回は所有者が分譲会社であったので持分は無償で譲るとの答えとなりましたが、これが個人だったらどうなるのでしょうか。
もし、その所有者が自分も私道に面している場合は、ご近所ということになり共同で道路を使用することになりますので、常識的に考えてそれほど吹っ掛けるということは考えられませんが、中には請求を受けるケースもあります。
私道の買取価格は土地とは違う
そもそもが、私道の持分取得は土地を買うということではありません。
たとえば、坪8万円だったとしたら、道路が4坪32万円の土地なら、半分なら16万円ということになるのかなと思われる方もいるかもしれませんね。
しかし、この場合はあくまで共有持分ですので、その土地の持ち分を2分の1買ったとしても、その道路の半分を所有できるという意味ではありません。
どこからどこまでという境界ももちろんありませんし、そこに車を置くとか物置を建てるなどの使い方は所有者の誰もできません。
なので間違っても土地の価格の半分とか、5分の1とかではありませんで、それよりはもっと低額の金額になると思われます。
私道のあいまいな「ハンコ代」
無償で譲るという場合でも、相手が個人だとその場合でも通常は「ハンコ代」などと言って、いくらかを請求される場合が多いようです。
「ハンコ代」の請求は、他にも共同所有の登記ではたびたび起こることで、はっきりした数字があればそれを元に検討することになりますが、いったいいくらほどなのか。
ハンコ代の金額は?
はっきりしていないのはハンコ代があくまで任意だからです。
要は相手が納得する程度の金額であればいいということですね。
この場合でも金額は道路の地価によって左右されると思われますので、公示価格などがいくらなのかを参考までに調べておくといいかもしれません。
また、もう一つ、私道のほとんどは他の人との共有になります。
なので、その私道を使っている人に聞いておくのもいいと思います。
月間プレジデントの記載では水道管を通すという時にその土地を使わせてもらう場合には
ハンコ代は、通常5万~10万円といったところが相場だが、なかには法外な金額をふっかけられるケースもある。
と記載している例もあります。「ハンコ代」が相手によって決められるというところが問題です。
実家の場合は相手が企業だということで、ハンコ代は問題がなかったわけです。
その代わりに土木会社であったためなのか、測量費用がかかるとなれば、ハンコ代を大きく上回る可能性があります。
私道が共有なら費用も分担
さらに、道路を共有している人が他にもいる場合は、それらの人たちとも共有となりますので、一緒に登記をする場合は登記の費用や登録免許税は各自で負担するとして、道路の測量費用等の費用負担は共同で負担することになります。
実家の場合は4件ですが、その道路をどれだけの人が使うかにもよります。
場合によっては何十分の1という場合もあるかもしれませんね。
はっきりしたことは法律でも決められていることではないので、ここで具体的には述べられませんが、所有者と新しい共有者2人の共有名義だったとしても、土地の価格の2分の1とは違いますので、「ハンコ代」についてはくれぐれも多く見積もり過ぎない方がいいと思います。
私道の持分取得の問題は”全員”一緒に
実家のケースでの一番の問題は、費用の問題よりも以下の点でした。
上図の通り道路に面するのは4軒ですが、担当者の言うに
後でトラブルが起こると困るので、4軒全部一緒にということにしてください
と言われたことでした。
その場合は他の3軒にその話をして同意を取らないといけません。
その上で、上記の費用などが掛かることを説明して、その費用を分担して支払うことになります。
そうしない限りは実家が売れないということになります。
私道を使う他の家の同意が疑問
しかし、その話を持ち掛けられる他の家にしてみれば、今まで30年間何の問題もなかったものです。
また他の家はそのまま住み続けているので売却することは想定しておらず、私道の持分があろうがなかろうが問題もありません。
そもそもが建設会社の所有であっても、勝手に通行し勝手に掘り返して何の問題もありませんし、元々土地の名義変更や持分の分配をしなかった建設会社に責任があるのです。
中には起こって訴訟にしようなどと言いだす人もいるかもしれません。
私だけが自分が売りたいからと言って、「お金がかかりますが持分取得が必要です」と言ったところで、たぶん聞いてはもらえないだろうと思いました。
私道の持分取得のタイミング
私道の持分取得はやはり分譲地を買った時点で、取得するのがいちばん望ましいでしょう。
今になって説得するには話のよくわかる人や交渉にあたる専門家も必要です。
自分だけがお金を出せばいいならともかく目的が違う人の同意を取るということは困難が予想され、私はその時点で持分取得はあきらめざるを得ませんでした。
私道のまま実家を売却へ
結局、私の実家の場合は、私道の持分の取得をしないままでも売却ができました。
というのも仲介ではなく、不動産会社の業者買取を依頼、買い取った業者が「うちの方でやります」と言ってくれたので、未取得の状態のままで売却したということになります。
これは仲介ではなくて買取であったからです。
もし仲介で売るという場合には上に書いたように地元の不動産屋は「売れない」として断られましたので、その際は必ず取得が必須となります。
もし、売却を前提として私道の持分取得を考えているという場合、仲介でなく買取であれば特に問題なく売却できるということはお知らせしておきたいと思います。
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